ファシリテーションとは |  問題解決サイクルとファシリテーションの技術  | 構成スキル | ツール |

  1. ファシリテーションとは 

      問題解決のアプローチ法のひとつ。従来、問題解決手法としては、ソフトアプローチ(第三者の仲介・斡旋による妥協・調整)、ハードアプローチ(第三者の調停・指導による説得・譲歩)などの手法が取られてきた。ファシリテーションは、メンバーが自律的に問題解決を行うことを前提に、それを促進するものである。

      (1)ファシリテーションのアプローチ
      メンバー各自の「理解と共感」をコミュニケーションスタイルとし、第三者(ファシリテーター)がメンバーの「促進・支援役」として機能し、「協働・創造」という形の問題解決スタイルが取れるようにするものである。
      (2)ファシリテーターについて
      ファシリテーター自身が問題解決の意見を言うのではなく、あくまで、プロセスをコントロールして、意思決定の質を上げ、学習を促進させる。
      (3)イメージ
      ホワイトボードや模造紙、付箋紙等を用意し、参加メンバーが自らの意見を発表し合い、メンバー全体の問題解決策をまとめていく。ファシリテーターは、その会議のゴール・目的を明示し、発散する意見を整理・先鋭化して、収束のために支援していくイメージ。
      (4)応用分野
      ファシリテーションの応用分野は、創造的(意思決定・合意形成・価値創造)でかつ社会的(組織・集団)な分野である。ビジネスや政治的な分野で、利害が輻輳する中での、問題解決に適している。例えば、住民参加型のまちづくり、企業内研修のワークショップ、教育や医療の現場などがある。

  2. 問題解決サイクルとファシリテーションの技術
     
      (1)問題解決サイクル
      基本的な問題解決のサイクルを以下に示す。
      問題検索→問題発見→方策立案→方策評価→意思決定→方策実行

      (2)ファシリテーションを支える技術としては、以下のようなものがある。
      ・プロセスデザインスキル(システム思考・MECE思考)
      ・プロセスマネジメントスキル(ロジカルコミュニケーション・論理の構造化)
      ・コンフリクトマネジメントスキル(コンテクストの共有化・WIN-WINアプローチ)
      ・ワークショップ技法・グラフィック技法
      3つのスキルと2つの技法により、効果的なファシリテーションが行える。

      (3)ワークショップ
      ワークショップに参加するメンバーに関し、以下の順序で問題解決に向かわせる。
      ①目的意識の共有・チームワーク作り
      ②問題意識の共有・解決への動機付け
      ③アイデアの統合化・評価尺度の共有

      (4)問題解決プロセス
      第1サイクル:目的・目標の設定(スタート)→問題検索(発散思考)→情報分析(収束思考)
      第2サイクル:問題の発見(スタート)→解決アイデアの創造(発散思考)→アイデアの評価・統合(収束思考)→解決策の決定(ゴール)→チーム解散


  3. 構成スキル 

      (1)プロセスデザイン
      プロセスデザインの基本は、目的、アウトプットイメージ、プロセス、役割分担、行動規範の5要素である。この際、業務をシステム的に捉え、インプット情報(販売速報や販売店の声など)、参照情報(顧客特性データ、過去の事例など)をもとに処理プロセスが機能し、アウトプット情報(需要予測など)が出てくるということを基本単位として、その繰り返しをチェーンのようにつなげていく。
      また、アイデアや分析において、モレやダブリが発生しないようにするにはMECEと言う考え方が有効である。例えば、4P(Product,Proce,Place,Promotion)や3C(Company,Customer,Competitor)などがある。
      (2)プロセスマネジメント
      メンバーが自由にそれぞれの立場で発言を始めると、意見がかみあわず発散してしまうことが多い。それをうまくミーティングとして機能させるために、ファシリテーターは以下の()内の役割を果たす。
      議論を理解する=メッセージの意味を理解する + 議論の中に位置づける
                 (ロジカルコミュニケーション)   (議論の構造化)
      ロジカルコミュニケーションは、事実の共有(起点)→根拠の乱れの修正→意見の明確化(終点)→論理で伝えきれない知識(暗黙知)→復唱して、主張の内容を確認 のステップを踏む。
      議論の構造化は、意見をはっきりさせる(議論の先鋭化)→意見の固まりを作る(議論の組織化)→意見のつながりを作る(議論の体系化)→議論すべき論点を並べる(論点の設定) のステップを踏む。
      (3)コンフリクトマネジメント
      チームで意思決定や合意形成を図る場合、必ずと言って良いほどコンフリクト(対立・葛藤)が生じる。コンフリクト解消の基本アプローチとしては以下がある。ファシリテーターは、WIN-WINのコンフリクト解消を目指す。
      ・協同(協力しあって両立する方策を考え出す)WIN-WIN
      ・交換(お互いに利害が反しないように取り替える)WIN-WIN
      ・分配(双方の主張を分け合って決着させる)WIN-LOSE
      ・説得(相手を納得させて自分の主張を通す)WIN-LOSE
      ・妥協(双方が譲り合って、折り合う点を見つける)WIN-LOSE
      ・譲歩(自分の主張をあきらめて相手に譲る)WIN-LOSE
      ・回避(対立を避けて解消を先送りする)No-deal
      コンフリクトを解消するために、目的(より高い目的から見る)、視点(より広い視点から見る)、立場(第3者の立場から見る)などのヒントをメンバーに与えると効果的である。

  4. ツール

      ファシリテーションにおいては、以下の支援ツールがある。
      (1)ワークショップ
       直訳すれば、作業場・工房という意味であるが、多様な人たちが主体的に参加し、チームの相互作用を通じて新しい創造を生み出す方法のことである。以下の種類がある。
      ・問題解決型(ビジネスや政治の世界で、ビジョン作り、戦略立案等に用いる)
      ・合意形成型(都市計画や学術分野、国際交流の場などで用いる)
      ・教育研修型(学校教育、社会教育、企業研修の場で用いる)
      ・体験学習型(ネイチャーゲーム)
      ・自己表現型(演劇やアートなど芸術活動の場で用いる)
      ・自己啓発型(エンカウンターグループ)
      (2)ファシリテーショングラフィック
      ホワイトボードや模造紙を利用して、議論の内容をビジュアル化し、「議論を書く」テクニック。
      ・メンバーの発言を要約する
      ・図形や装飾を加える
      ・矢印で発言を関係付ける
      グラフィックは、以下のパターンがある。
      ・ツリー型
      ・マトリクス型
      ・サークル型
      ・フロー型

ファシリテーションの概要図。クリックで拡大表示。
ファシリテーション

参考文献:問題解決ファシリテーター「ファシリテーション能力養成講座」(堀公俊著 東洋経済新聞社)
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